出生前診断
出生前診断をお考えの方へ
妊娠が進む中で、赤ちゃんの健康や将来についてご不安になることもあるかと思います。出生前診断は、胎児の発育や染色体の状態を調べることで、妊娠中に得られる情報の幅を広げる手段のひとつで、主に次のような目的があります。
- 胎児に形態的な異常(臓器・骨格など)や発達上の異常傾向がないかを確認する
- 染色体異常や遺伝性疾患の可能性を評価する
- もし異常が判明した場合、出産後の対処や治療体制、育児・療育の準備を前もって計画できる
- 必要に応じて、胎内治療(可能な場合)を検討する選択肢を持つ
出生前診断は標準的な検査ではありません。
検査を受けるかどうかを決めるのは、ご夫婦やご家族の大切な意思です。検査の内容やリスクをきちんと知っていただいた上で、「自分たちにとってどんな意味があるのか」を考えることが大切です。まずはご相談ください。
出生前診断の種類
出生前診断には、「形態異常」を調べる検査と、「染色体異常」を調べる検査があります。
「染色体異常」を調べる検査は、以下の2種類に分けられます。
- 非確定的検査:診断の確定はできず、可能性を評価する検査
- 確定的検査:結果から診断を確定できる検査
※非確定的検査は、あくまで「リスクを判定する」ものであり、「赤ちゃんが病気を持っているかどうかを診断する」ものではありません。
これらの検査で陽性になった場合、確定的検査を受けることをお勧めしております。
非確定的検査
確定的検査
胎児超音波検査
通常の妊婦健診で全ての妊婦さんに行う検査です。
エコーにて胎児の頭や体、心臓の形態異常などがないか細かくチェックします。
妊娠中期と後期に1回ずつ基本の健診のエコーよりも少し時間をかけて検査します。
検査時期 |
妊娠中期(妊娠18週~20週) 妊娠後期(妊娠28週~30週) |
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エコー検査ですべての異常がわかるわけではありません。
もし異常が見つかった場合は、高次医療機関に詳しい検査の依頼をしたり、必要があれば赤ちゃんにとって最適な分娩施設へご紹介させていただきます。
クアトロテスト
母体の血液の成分から21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎)である確率を推定する検査です。
血液の成分検査に年齢なども判断因子とし、確率を割り出します。
確立が高ければスクリーニング陽性、低ければスクリーニング陰性となりますが、『非確定検査』であることを念頭に置く必要があります。
検査時期 | 妊娠15週~17週 |
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費用 | 21,000円 |
羊水染色体検査
お腹から羊水を採取して染色体異常(数的異常・構造異常)の有無を調べる検査です。
検査の精度は高く、ほぼ100%の『確定検査』といえます。
ただし、腹部より穿刺することで0.2~0.3%の流産のリスクがあること、染色体異常以外が原因で起こりうる疾患についてはわからないということに同意していただく必要があります。
検査時期 | 妊娠16~17週 |
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費用 | 120,000円 |
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)
ご希望の方は、当面の間、認証施設へご紹介させていただきます。
よくあるご質問
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Q1 出生前診断の費用・保険適用について教えてください。費用は、検査内容によって異なります。
多くの場合は健康保険の適用外(自費診療)となっています。 -
Q2 検査を受けようかどうか迷っています。判断にあたって大切なことは?
- 検査で得られる情報(メリット)とリスク・限界(偽陽性・偽陰性、確定診断のリスクなど)を正しく理解すること
- ご自身・ご家族の価値観・考え方を大事にすること
- 検査を受けた後の心的負担・感情変化にも備えること
- 遺伝カウンセリングや医師との説明・相談を十分に受けること
- 検査を実施する施設の信頼性・サポート体制(アフターケア・フォローアップ)を確認すること
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Q3 検査を受けることのリスクや注意点はありますか?非確定的検査(クアトロテスト、NIPT)は採血のみで母体・胎児に対する身体的リスクは非常に低いですが、偽陽性・偽陰性の可能性があります(実際には異常がないのに陽性になる、または異常があるのに陰性と出ること)。
確定診断検査(羊水検査)は、わずかながら流産・破水・感染のリスクがあります。
また、検査結果を知ることで心理的負担や葛藤が生じる可能性もあります。 -
Q4 検査結果はどれくらいでわかりますか?採血または検査後、通常1〜3週間前後で結果が出ることが多いですが、解析体制・混雑状況によって前後することがあります。判定不能となった場合は、再採血・再検査となることがありますので、予めご了承ください。
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Q5 他の産婦人科で妊婦健診を受けていても利用できますか?他院で妊婦健診中の方でも出生前診断を受けられます。ただし、かかりつけ医との情報共有や連携を考慮して、事前にご連絡いただくのが望ましいです。